いきなりですが、「宅食」の意味は次の通り。
宅食とは?
食事を宅配してくれるサービス。「宅配食事」の略。栄養バランスの良いメニューの食事がお弁当のようになっているもの。
通常の意味はこの通りです。ですが、言葉には色々な意味があるもので、「宅食」も例にもれずいくつかの意味を持っています。
ネット上では、色々な意味で「宅食」が使われているのを見かけます。意味を間違えて使うと、意外と大変かも。
そこで、この記事では「宅食」の意味をはっきりさせるために、次のことをまとめます。
実際の画像で説明して、類似する食事サービスと間違えないための分類方法もまとめます。
ぜひ、参考にしてみて下さい。
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「宅食」の画像と具体例
ワタミの宅食
管理栄養士がメニューを監修した栄養バランスの良い食事を家までお届けしてくれます。「ワタミの宅食」は冷蔵で毎日宅配。
食宅便
冷凍で宅配される宅食は、冷凍庫にストックしておいて、好きな時にレンジで温めて食べられます。
コープの夕食宅配
「宅食」の広義と狭義
これまで僕が宅配弁当ライターを続けてきた過程で、多くの方が「宅食」という言葉を使っているのをネット上で見てきました。
ここでは、それら「宅食」という言葉の使い方をまとめます。
広義の「宅食」
広義の「宅食」
- 栄養バランスの良い食事サービス。
- ある程度の期間、繰り返し配達される。定期契約。
- 冷凍のものは7食~10食程度を一度に配送される。
- ご飯付き、おかずのみのどちらもある。
宅食と呼ばれないもの
「宅食」とは呼ばないもの
- 仕出し弁当、フードデリバリー、ロケベンのような宅配弁当。
- 栄養バランスが特に考えられていないもの。
ただ、ネット上やSNSでは次のようなものを特に(狭義で)「宅食」と呼んでいる人が多いようです。
狭義の「宅食」
狭義の「宅食」
- 冷蔵で配達される。
- 平日は毎日配達される。
- お弁当箱に入って「宅配弁当」になっているもの。
狭義で「宅食」という言葉を使っている人の中には、広義の定義のものは「宅食」と呼ばないと思っている人もいました。
詳しくは後述しますが、「宅食」は「ワタミの宅食」が始まりです。なので、ワタミの宅食に似ている食事の宅配サービスが「宅食」と呼ばれることが多いわけです。
ただし、昨今は多くのメーカーが様々なサービス内容の食事宅配サービスを展開しているので、上記のようなサービス以外も広義に「宅食」と呼ばれることが多くなってきています。
また、本家の「ワタミの宅食」のサービスも内容や配達の体系を変遷しているので、「宅食」という言葉の使われ方が変わってきているわけです。
狭義の「宅食」 | 広義の「宅食」 | 「宅食」と呼ばない宅配弁当/デリバリー | |
宅配温度 | 冷蔵 | 冷凍/冷蔵/常温 | 常温 |
配達頻度 | 毎日宅配 | 毎日宅配/クール便一括 | 都度宅配 |
注文期間 | 1週間~1ヶ月単位 | 様々 | 都度注文 |
ご飯 | ご飯付き/ご飯なし | ご飯付き/ご飯なし | ご飯付き/ご飯なし |
栄養バランス | 栄養士作成 | 栄養士作成 | 良くないものが多い |
容器 | お弁当箱タイプ | お弁当箱タイプ/簡易タイプ | 様々 |
いわゆる「デリバリーフード」や「出前」のようなものは、ほぼ「宅食」と呼ばれません。
「宅食」は「ワタミの宅食」の登録商標
「宅食」という言葉は、実は「ワタミ株式会社」の登録商標です。
つまり「宅食」=「ワタミの宅食」ということです。
これにはちょっと驚きですね。。
宅食=ワタミの宅食
「宅食」は登録商標なので、普通名詞のサービス名ではないことになります。ですが、現在ネット上では「宅食」が食事宅配サービスを表す言葉として一般的に使われています。(ただし、注意深く見ると法人/企業としてのアナウスやSNSでの発言に「宅食」は出てきません。商標登録されているので他企業が使いにくいのは当然ですね。)「宅食」という言葉は「自宅」や「お宅」への「食事」の配達だと、簡単にイメージできる字面ですからね。
このような話を聞くと「ワタミ株式会社」がみんなが使う言葉を勝手に商標登録して独り占めしている!と思ってしまいそうになりますが、それは違います。
さらに驚くことに、「ワタミの宅食」は、株式会社「タクショク」をワタミグループが買収したことで生まれた会社名とのことです。
つまり、「ワタミの宅食」より遥か前から「タクショク」だったわけです。
株式会社「タクショク」は1987年に付けられた社名。(創業は1978年。)
「宅食」という普通名詞よりも前から「タクショク」という固有名詞(会社名)があったというわけです。「バンドエイト(ばんそうこう)」や「ホッチキス(ステープラー)」のように、固有名詞が普通名詞化した例の一つですね。
ちなみに、日清医療食品の「食宅便」も「宅食」と呼ばれることが多いです。「『食宅』便」という名前が「宅食」と似ていることから、そう言われている面があるかもしれません。ただ、「ワタミの宅食」同様に「食宅便」の市場シェアが大きいことも、「宅食」呼ばれる機械が多い原因の一つだと思います。
「宅食便」と間違えて書いているのも見かけますし・・混ざってる、混ざってる・・
「宅食」の類語と意味
ここでは、「宅食」に近い類語を説明します。
僕は4年以上宅配弁当ライターをやっていて、これまで、食事宅配サービスに関する色々な用語をこのブログ内で使用してきました。自分が使う用語については、他の多くの人にどういった文脈で使われているかを確認してきたつもりです。
実際にその用語に相当するサービスを受けてみた経験も踏まえて、最適であろう意味をまとめます。
また、宅配弁当の種類については、こちらでさらに詳しく解説しています。
【宅配弁当の選び方】種類(冷凍/冷蔵/常温)とメリット/デメリットを解説
夕食宅配
夕食宅配
字面ではただ「夕食を宅配する」というものですが、この用語を利用している業者は「夕食宅配」を「宅食」と非常に近い「栄養バランスの取れた食事を宅配する」という意味で使っています。
「夕食宅配」は昼間に宅配されることもあり、場合によっては昼食にもできます。夜までには確実に宅配される、という意味合いです。
主に全国のコープ(生協)のお弁当宅配で使われていて、最近では「宅食」の本家「ワタミの宅食」でもミールキットや冷凍弁当と区別するために「夕食宅配」を使い始めています。
「夕食宅配」の特徴
- 夕食どきまでに配達(地域によっては昼食時に配達終了)。
- 冷蔵で配達。平日は毎日配達。置き配で受け取り可能。
- おかずのみセット、ご飯付きセットあり。
- 1週間単位の注文or定期注文。
- 送料無料。
宅配食
宅配食
「宅配食」は、その字面通り「宅配の食事」「宅配食事」と同じ意味で使っている方が多いです。「宅配食事」を略して「宅配食」、さらに略して「宅食」、という認識でも良いとは思うのですが…。やはり「宅食」は少しだけニュアンスが違うようにも感じます。
宅配弁当
宅配弁当
ここまで説明した「宅食」や「夕食宅配」などに加えて、仕出し弁当、ロケ弁、弁当屋さんのデリバリー、など、お弁当の内容にかかわらず、配達可能なお弁当すべてをあらわす広義な言葉です。
ただ、問題が一つだけあります。ご飯が付かないもの(おかずセット)を「宅配弁当」と呼んでいいのかどうか。
辞典や辞書によって多少違いますが、実は「弁当」の定義に「ご飯が入っていること」はないです。
一般的に「弁当」にはご飯が入っていることが多いので、「弁当」の定義に「ご飯」が入っていると思われがちですが、そういうことはないようです。
冷凍おかずセットに「~弁当」という名前を付けているメーカーもあります。
ただし、「弁当」という名前にすると、ご飯が入っていると勘違いされやすいことから、「夕食宅配」のような言葉が生まれているものと思われます。
配食
「配食」も「食事を宅配する」という範囲の広い言葉です。
ただ、「宅食」や「宅配食」と違い、教育施設や病院施設、老人ホームなどへの食事の提供を指す場合もあります。
施設への食事の提供は「宅食」や「宅配食」は、ほぼ使いません。(ちなみに、「施設」≠「宅」ということはないようです。)
さらに「配食」はビジネス用語として「配食サービス」「配食ビジネス」のように使われることが多いです。
注文するお弁当の内容を間違えないために
宅食、食事宅配、宅配食、宅配弁当、夕食宅配・・・
呼び方、名称で判断するのではなく、注文しようとしているお弁当の内容は具体的な項目をしっかりチェックしましょう。
ここをチェック!
- ご飯が付いているか/いないか。
- 冷凍か、冷蔵か、常温か。
- 受け取り時間を指定できるか/置き配で受取れるか。
- 冷凍ならば、何食セットで送られてくるか。
最低でも上記のことさえチェックしておけば、大きな問題(「こんなはずじゃなかった。」)は起きないかと思います。
逆に、上記のことをしっかりチェックせずにお弁当を注文してしまうと、最悪「ダメにしてしまう。」「食べられない。」ということになってしまうかも。